「喧嘩かよ?」
「まぁ…はい」
驚いた顔の凪桜先輩に頷くと、困ったように頭を搔く凪桜先輩。
「まぁ喧嘩は放っておくに限るな。
当人たち同士の問題だし」
「そんな…」
「じゃあルリちゃんが謝れば解決なんじゃねーのか?」
凪桜先輩のその言葉にそっと首を横に振る瑠璃佳。
「ルリだって風子みたいな恋愛して見たいけど出来ないんだよぉ。
それをあんな言い方しなくてもぉ…」
眉を八の字に曲げる瑠璃佳にどう言葉をかけてあげたらいいんだろう。
私が何か言ったら嫌味みたいにならない?
そんな私がどうにも出来ないでいると、トト先輩がはーいと手を上げる。
「僕、心遥ちゃんのとこ行ってくるねっ!」
「えっ!?トト先輩!?」
「ハルちゃんのことはトトに任せとこうぜ」
でも、そんな出会って間もない人に任せていいの!?
と言おうとして私はやめた。
凪桜先輩のトト先輩を見送る顔があまりに優しかったから。
だからきっとトト先輩は信用できるって思った。
「それじゃあ俺たちは4人で回ろうか?
ルリちゃん、気持ちの整理が着いてから仲直りしたらいいんじゃない?」
「そーそー。
トトとトラもしょっちゅう喧嘩してるぞ?
トトのなんでも首突っ込むとこにトラがキレてな」
「そうだね。
ナギだってよくトトに怒ってるじゃないか」
「あれは怒ってるだけでキレてはないから喧嘩じゃない」
「暴論ー」
ピリついた空気を和ませるようなそんな会話に私も瑠璃佳もふっと肩の荷が降りる。
1つ年上なだけなのにこんなに大人なんだなぁ先輩って。素敵だなぁ。
そして3人でも喧嘩するんだ、意外。


