先輩といろどる恋。˚✩





【風子side】



「おつかれー!」






バイト終わり、一颯くんと共に挨拶をして出ると底には凪桜先輩が座っていた。






「凪桜先輩」



「ちょっと話そう」



「……嫌です!」






落ち着いた声で手を差し出す凪桜先輩の手を私は思わず振り払ってしまう。



決して凪桜先輩が嫌とかじゃなくて!なんか、なんでか凄く今は嫌なの!



なんか良くない話とかされそうで怖い。




そんな私を呆れた顔で見るのは横に並ぶ一颯くん。






「おい、いけよ」



「い、いやだ!」



「嫌じゃねーよ!お前何歳だよ!」



「だ、だって!!別れたくないもん!!」



「はぁ!?」






何故か私を先輩に引き渡そうとする一颯くんと嫌がる私が揉みくちゃになって暴れながら言い合いをする。


そして私の言葉に一颯くんは大声を出すし、凪桜先輩はキョトンと私を見つめた。






「お前なんで急に別れるなんて思考回路になんだよ!」



「だって!なんか改まってるもん!」



「それはお前がお似合いじゃねーって言われて膨れてるからだろ!」



「怒ってないもん!」



「とりあえず、人の話聞こうな風子も一颯くんも」






私と一颯くんがギャーギャーと喚く中凪桜先輩は冷静に私と一颯くんの間に立ち入る。






「別れ話じゃないから。おいで風子」






いつもより優しめの口調に、腕を広げられてしまうと私は抵抗なんてできない。



だって私は凪桜先輩のこと好きで好きでたまらないもん。




ちょろい私は凪桜先輩の差し出す手をとり、一緒に歩き出した。