そして連れてこられたのは凪桜先輩の机の前。
突然現れた後輩に昨日先輩と一緒にいたトラくんと呼ばれていた優しそうな人が微笑む。
「昨日の元気な子だね?
俺は山田 大我(やまだ たいが)トラくんって呼ばれてるよ」
「トラ先輩ですね!」
「この子はふーちゃんだよっ!」
「ふーちゃんね、よろしく」
「よろしくお願いします!」
優しくて常識人っぽいし頭も良さそう。爽やかだ。
トラ先輩のいい印象に頷いていると、隣で座っていた凪桜先輩の目が私に向かっているのに気がついた。
「凪桜先輩!私凪桜先輩のことを知りたくて来ました!」
ようやく先輩と話せる!
その気だるげな顔も仕草もかっこいいです!
私の言葉に明らかに面倒そうな顔をする凪桜先輩。
「俺の何を知りたいの?」
「えっと…好みとかです!
食べ物も色も女性の好みもです!」
「なんか小学生みたいだな、君」
「えっ!!」
小学生!!
それは確実に褒められていないですよね!?
「それにしても突然私のことが見えて聞こえるようになったんですね凪桜先輩」
「ずっと見えてたし聞こえてたわ。
うるせーんだから気づいてなかったら俺おかしいだろ」
「じゃあどうしてシカトしてたんですか?」
「ウザかったから」
「そんな!」
薄々シカトされてるとは思ってたけど酷くないですか?!
そんな私の反応にククッと先輩は笑った。
その笑顔が何ともたまらなくて…心臓がとび出そうなくらい跳ねたのが自分でもわかる。


