「先輩こんにちは!
一颯くんどうしたの?」






私が声をかけると、面倒そうな顔の凪桜先輩と少しムッと顔を顰めた一颯くんがこちらを見る。




何かあったんだろうか。






「なんか、一颯くんの妹が家出したらしい」



「え!?」



「妹の存在知ってんの七海だけだからお前に連絡しても繋がんねーから彼氏見かけて声掛けたんだよ。」






もうすぐ小5になる子が家出だなんて絶対心配に決まってるよ。そんなの答えはひとつしかない。






「もちろん!探そう!」



「おう、サンキュー。
昨日の夜俺と喧嘩して、朝も言い合いになってから家出してんだ。
あいつの友達とかしんねーし、どうしていいかわかんねーよ」



「そうだよね…!名前は?」



「紫吹(しぶき)」



「紫吹ちゃんね!」






前見せてもらっためっちゃ美人な顔と会う名前だなぁなんて思いながら、紫吹ちゃんの画像をスマホに一応送ってもらう。






「俺12時からバイトだからそれまでに何とかしねーと」



「あと1時間じゃん!
気にしないで!私たち探すから!見つかったらすぐ連絡するから!ね?」






春休みのバイトは忙しいから一颯くんがいなかったらすごく大変だと思うもん。



そんな私の言葉に一颯くんは悩んだように目を伏せたあと私をもう一度見る。






「ギリギリまで探すけど無理だったら頼む」



「うん!」






そう言うが早いか一颯くんは紫吹ちゃんを探しに駆けだす。






「凪桜先輩すみません、いいですか?」



「まぁ、放っておけないしね」



「ありがとうございます!」






やっぱり優しいなぁそんなとこも好き。


そんなことを思いながら写真を頼りに紫吹ちゃんを探しに向かうのだった。