ワインレッドにさよならを

 スマホのバイブレーションが鳴って、メッセージを確認した。

『仕事終わりました!今から向かいます!』

 悠太からのメッセージを見て、自然と理香の頬が緩む。


 悠太に会うなら、少しだけおしゃれをしたい。張り切り過ぎは気恥ずかしいから、少しだけ。
 
 スーパーで買った食材で悠太の好物を作って待つ間、少しだけソワソワしてしまう。
 鏡の前で何度も身だしなみを気にして、それから時計を見る。
 
 ふと、理香はポーチにずっとしまってあったワインレッドのリップを手にとった。

 綺麗なワインレッドは、やはり理香のお気に入りの色だった。

 それを薄く唇に塗った。
 前よりも薄く塗ると、無理なくほんのりと理香の唇を彩ってくれる。