ワインレッドにさよならを

 何回目のデートだっただろうか。
 
 毎週のように理香を連れ出してくれる悠太に、はじめて理香から手を繋いだ。
  
 一瞬驚いたように見開かれた悠太の目。
 けれど次の瞬間はにかんだように微笑まれて、また理香の心臓が跳ねた。
 
 ドキドキと高鳴る鼓動。

 まるで初恋のような、くすぐったくて甘酸っぱい感覚がなんだか照れくさい。
 
 いい歳をした大人が何をしているんだろうか、と思わなくはないけれど、こんな気持ちはいつぶりだろうか。