喧嘩も強いし、何でも器用にこなす。見た目も声も全てイケメン。僕が世界一憧れているチームの総長、東条朝都。学校の先輩でもある。

 彼に憧れ、僕は彼のチームに!


 何よりもチームの事を優先する彼だけど、それよりも優先している事が、ひとつだけある。

 それは、妹だ。

 夜の集会の時、彼は言った。

「明日は、お迎えの日だ。頼むぞみんな!」

「うっす!」

 “ お迎えの日 ” それはつまり、幼稚園に妹を迎えに行き、ずっと妹につきっきりになる日だから、チームに何か起こっても参加出来ないからな! ということである。 
 
 周りから恐れられている総長が妹に溺愛している。噂によると、絵本を読んだり、遊んだりもしているらしいのだ。

 ほわわわわーん。

 想像してみる。
 想像が難しい。

「よし! 尾行しよう!」

 次の日、僕は、学校が終わると総長の後をこっそりついていった。