ある寒い日の事、

「まーちゃん、これも必要じゃない?」

茉白(ましろ)と魁(かい)は、ベビー用品を買い揃える為、西松屋に来ていた。

「新生児でおしゃぶりはいらないよ、魁君」

「そうなの?」

魁はおしゃぶりを商品棚に戻す。

「あれ?」

魁が声をあげた。

「まーちゃん、携帯鳴ってない?」

確かにマナーモードに設定している茉白の携帯電話が鳴っている。

ディスプレイを見ると、母親だ。

「もしもし?」

『茉白?
落ち着いて聞いてね。
舞雪(まゆき)が死んだの…』

母親の言葉を聞いて、思わず、茉白は手に取っていた商品を落とした。

「ちょっ、ちょっとまーちゃん?
あ、すみません、買いますから」

魁はお店の人に謝っている。