「私こそごめんなさい。よく確かめもせずに高晴さんを悪者にして、勝手に怒ってた」
「いいんだ、雫。俺がそういったことに無頓着過ぎた。口紅やファンデーションをつけて帰ってきたら、きみが不審に思うのも当然だよ」

視線が絡む。私たちはどちらもしょんぼりしていた。お互いがお互いに不満を持ってしまっていた。誤解で傷つけ合うようなことを言ってしまった。

「高晴さん、仲直りしよう」
「俺も、雫と仲直りしたい」

私たちは互いの身体を引き寄せ合い、キスをした。重ね合うだけじゃ飽き足らず、キスはすぐに深くなる。

「雫、嫉妬深くてごめん」
「ううん、そんなに愛されてるんだって嬉しいよ」

キスを交わし、互いの首や鎖骨にキスを落とす。もうお互いしか見えない。ジャケットもコートも床に投げ捨て、素肌に指や唇を這わせる。髪に指を梳き入れ、キスを繰り返す。

「二次元の推しはなるべく我慢する。だけど、三次元の推しと連絡を取ったり、会う時は教えてくれないか?」

そんなことを言う高晴さん。きっと、すごく不安にさせてしまっていたんだ。
私は背伸びし、彼の耳朶にキスをして、そのままささやいた。

「もう、お仕事以外でメールしない。連絡は取り合わない。不安ならメールもスマホの中身も、全部見せてもいい。……約束するよ」
「俺も、付き合いだって女性と過度に接近はしないから」
「うん、信じる」

寝室に行くのももどかしく、私たちはソファで愛し合った。
嫉妬し合うのって、すごく消耗する。胸はずっと苦しかったし、パートナーを悲しませていたこともつらい。
だけど、恋愛ゼロで結婚した私たちには、こんなプロセスも必要なのかもしれない。これも絆を深めていく過程なのかな。
ううん、やっぱりすごくお互いしんどかったから、今度は嫌だって思ったらお互い早めに言おう。信じてほしいし、信じたいもの。
私たちはソファをきしませながら夢中で互いを求めあった。