「私も。…私も、ヒナタのことが好きです」


 ほとんど望みのない告白だと思ってた。


 でも、返ってきたのはまさかのOKの返事。


 しかも俺のことが好きだと。


 ダメもとだったはずが、こんなにいい結果になるとは。


 この時の俺は、嬉しくて飛び跳ねてしまいそうなのを抑えるのに必死だった。


 俺はこいつに見合う男になろうと、今まで頑張った。


 その努力が実を結んだんだな。


 そして俺たちは、2人だけの世界の中で抱きしめ合った。


 長い間お互い強く抱きしめた後、俺たちはゆっくりと離れた。


 ふと2人で空を見上げると、奇跡のようなタイミングで流れ星が流れた。


 1つのみならず、何十個何百個も。


 それをこいつは目を輝かせて見つめる。


 こいつが流星群に目を奪われている間、俺は1度も空を見上げなかった。


 そのかわり、流れゆく星々に照らされたこいつの横顔と、その瞳に映る流れ星を見下ろしていた。


 こいつは俺がいることなんて少しも気に留めていないほど空に釘付けになっていた。


それがいくら寂しかったからって、


「流れ星もいいけどさ。…俺のことも見てよ」


 なんて少し前の俺なら絶対に恥ずかしくて言えなかった言葉も言ってしまった。


 俺が短冊に書いた願い事は、


『勇気を出して、ちゃんと言う』だった。


 あの時出した勇気のおかげで、今がある。


 これからの限られた時間を、こいつと共に歩んで行こう。