肝心なところで勇気が出ない。それが私の悪いところ。


 私はぎゅっと、下唇を噛んだ。


「…あのさ」


 上から声が降ってきて、私はすぐに顔を上げる。


「俺、お前のこと好きだ」


「そうなんだ…って、え!?」


 思いがけないことを言われて、頭が混乱する。


 まさかそんなこと言われるなんて。


「ど、どうして」


「どうしてって、俺らもう高3だし。今言わないでいつ言うんだよ。てか、今言わなきゃ、俺もう言わないと思うし」


 そして私と同じ方向を向いていたヒナタが私の方に体を向ける。


「お前と出会ってからずっと、お前のことが好きだった。お前以外考えられない」


 私の顔が熱を持つのがわかった。


「好きだ」


 ヒナタは、改めてそう言った。