「彩葉先生~もう、たいちゃんがまたグズってる~何とかして~」


「あっ、弥生先生、ごめんね。こっち終わったらすぐ行くね」


「ほんと、たいちゃんは絶対彩葉先生じゃなきゃダメなんだもんね。まいるなぁ〜」


彩葉先生……その呼び方にもずいぶん慣れたかな。


この保育園に来てもうすぐ2年。


可愛い子ども達と過ごす時間は本当に楽しくて、そして、嬉しい。


ずっと長い間憧れていた仕事にようやく就くことができて、毎日が充実していた。


「たいちゃん、どうしたの? 弥生先生を困らせちゃダメでしょ?」


優しく諭すように言う。


「彩葉先生がいないから寂しかった」


3歳のたいちゃんは、とっても愛らしい瞳をウルウルさせて私を見た。


この真っ直ぐな目で見られると弱いんだ。


「たいちゃん! この弥生先生がいるんだから、わがまま言っちゃダメでしょ~?」