「それより慶都さんの浴衣姿、本当に素敵ですね。本麻ですか? 風合いが上品でとても良くお似合いです。その信玄袋も京扇子もオシャレで可愛いです」


「和装、詳しいな」


「実は父も浴衣が大好きなんです。子どもの頃からよく着てましたから。もちろん、慶都さん程洗練されてませんけど」


ニコっと笑う彩葉。


浴衣にその笑顔は何ともチャーミングだ。


「君は一堂社長のことが好きなんだな」


「はい。本当の親子ではないですが、私にはたった1人の大切な父です」


「良くわかる。子どもにとって、親というのは誰よりも尊敬できる存在だ」


俺は、1から仕事を教えてくれた父と、優しく包みこんでくれる母をいつも尊敬している。


だから……俺自身も、子どもに尊敬されるような父親になりたいとずっと思っていた。


「さあ、花火まではまだ少し時間があるから、屋台でも回ろうか」


「嬉しいです」


彩葉と2人きりで過ごす時間。