光彦先生は

前世の記憶がないんですか?



それとも……



私以上に好きな人ができて

私のことなんて

どうでもよくなってしまいましたか?





この現世で

彦星さまと出会えたこと

本当に奇跡だと思う。




だって私



自分の瞳にもう一度

彦星さまが映ってくれたらなって

ずっと願ってきたから。




でも、今わかった。



私が望んでいるのは

彦星さまと再会することじゃない。



前世のように

彦星さまに溺愛してもらいたいんだ。





白衣のポケットに手を突っ込んだまま

光彦先生は、ステージを下りていく。



彼の背中を見つめ、私は強く決意した。




『光彦先生に
 好きになってもらえるように

 精いっぱい努力をしよう』って。