「彦ちゃん、どうした?
顔が般若みたいに恐ろしいよ」
「俺はもともと
こういう顔なんだよ」
「違うでしょ?
最愛の子の前だと
ドSと甘々を溶かしたような
ハチミツトロトロ顔が
できる癖に」
「なんだよ、それ!」
「そんな恐ろしい顔をしてると
優しそうなパパさんたちに
衣織ちゃんを取られちゃうよ」
真っ白な歯を見せるくらい
ニカっと笑った僕の一言は
彦ちゃんの恋の急所に
ねじ込まれたらしい。
「……っ」
彦ちゃんは焦ったように
声を喉に詰まらせた。
もう、彦ちゃんったら。
衣織ちゃんのこととなると
平常心を保てなくなるんだから。



