彦星さまは会いたくてたまらない



「泳げない織姫が?」



「会いたい思いが強すぎて。

 泳げないことなんて
 忘れちゃってて……」




「アハハ~」



「なんで笑うんですか?」



「俺と同じだなって思って」



彦星さまと同じ?

そんなはずは……



「彦星さまは
 泳ぐのが得意でしたよね?」



「俺と同じところ
 そこじゃねぇよ」



「えっ?」




「俺も飛び込んだから。

 大雨で荒れまくってた
 天の川にな」



それって……



「次の年の七夕なんて
 待てなかった。

 オマエに会いたくて。
 今すぐ会いたくて。
 もうどうしようもなくて。

 だから俺は嬉しいんだ。

 前世で織姫が
 俺と同じ気持ちでいてくれたことが」



「……彦星様」