彦星さまは会いたくてたまらない







ベンチに座ったまま

いろんな感情に

揺さぶられてしまう私。



よし、覚悟を決めた!



今から家に帰って

布団にもぐって 

大泣きしよう!!



そう思って、ベンチから

立ち上がろうとした時




「コラ~」


優しさの塊みたいな声が

私の耳に届いた。



うつむいたまま、固まった私。



びっくりしすぎて

顔があげられない。




この声は……




「こんな夜中に、何をしてるんだ?」



私の大好きな……



いやいや、そんなはずないよ。



光彦先生が

この神社にいるわけないもん。




「姫野、聞いてるのか?」



「はっ…、はい!」



ビクっと肩が跳ね上がった勢いで

私は視線を上げる。



漆黒の瞳を持つ

凛とした王子様に

私は見つめられていた。




ダークブラウンの

柔らかく波打つ髪。



左目の横には

大人の色気を感じさせる

ホクロがぽつん。




ひぃえぇぇぇぇ。



睨まれてる。

なぜか睨まれてる。



ひひひ…彦星様、本人に!!!!