愛人~アイレン~

「でも、俺じゃ幸に良い暮らしをさせて上げる事が出来ないよ……」


良い暮らしになんて今まで興味無かったのに、真司に会ったばかりに。


今の私は、広い家に最新の電化製品。
不自由の無い暮らしが無いなんて、生活は考えられない。


そうだ。
真司はきっと浮気をしている。


だから、それを見つけて慰謝料を取ればいい。


「ねえ、うちの旦那浮気してると思わない?」
「そ、そうなのか?
幸が居るのに浮気とか有り得ないだろ?」
「ううん。
だって、やたら、服とか気にして出掛けてるもん!
あのね、旦那が浮気していたら慰謝料取って健と暮らしたい!!」
「本当に!?
もし幸の旦那が浮気してれば、幸と一緒に暮らす事が出来るんだね?」


私と暮らせるだけで、嬉しそうに笑う健が愛おしい。


私は健が好き。
一緒に暮らしたい。


「うん!帰ったら浮気の証拠集める!!」
「無理はしないでね……」
「うん」


健と愛し合い、家に帰ると晩御飯を作った。


最初の頃は私の料理を嬉しがっていた真司だが、今は生きる為に食べているだけのように感じてしまう。


会話もまともにしないまま、自分の寝室に向かう真司を目で追った。