【雨に濡れた地面に滑って転んで頭を打った。】


それはもう、しこたま頭を打った。

そして、少し坂になっていた所とはいえ、目に見えない何らかの力が働いたかの如く、綺麗な転び方であった。

しかし、当事者からはそんな姿を見れるわけもなく、実際は、コントの様にすっ転んだ視線の先に白く輝くお月様。

漫画なら、滑った足元には『つるん!』と擬音が付いただろう。

そしてもう一つ擬音が付くモノがあった。

『そこにそんなのあったっけ?』

私の頭が向かった先に白く輝く漬け物石。

『ゴン!』と大きな音が公園中に響いた。

これが漫画だったらね。

そしてこれが、サスペンスまたはミステリー漫画なら確実に死んでいただろう。