『──っしゃあ!MVP!』

銃声が鳴りやみ、私たちの勝利を知らせる画面が映ったと同時に、友達──葉月の喜びの声が耳に入った。

「葉月うるさい」

どうしてたかだかゲームでこんなに盛り上がれるんだろう。

葉月に勧められて始めたこのゲームは戦闘系で、ゲーム自体は嫌いじゃないが、銃声などが鳴りやまず、耳が痛くなってしまう。

『いいだろ別に!逆にるなは何でそんなに冷静なんだよ!』

──るな。それはあたしの本名では無い。

あたしも葉月も──あたしたちに限らず、ネットで出会ってすぐの人に本名は教えないだろう。

「葉月と違って、あんまりゲームは好きじゃないんでね」

『えー、でも俺とゲームしてても嫌がらないじゃん』

「ある種、暇つぶしみたいなもんだよ」

1年程前に葉月と知り合ってから、あたしの中でこの光景が日常となりつつあった。

──時刻は午前4時。もうすぐ、夜が明けそうだ。