ソフィアが皇太子殿下の護衛に就いてからの1週間は、慌ただしかった。

早朝から夜中、時には夜通し護衛に就くこともあった。

その間。
ソフィアは皇太子殿下ルイスの人柄や行動パターンを観察し、でき得る限り把握した。

さらには前任の皇太子殿下護衛からも、皇太子殿下の情報を念入りに仕入れた。

それらの情報でわかったこと。

ルイスは饒舌で快活、誰に対しても人当たり良く、何でもそつなくこなす。

1週間、宮中でルイスの悪評は1つたりとも聞かなかった。

私に対しては、あれほど失礼な物言いをした人が何故、1つも粗が出てこないのだろう。

普段から余程、用心し気遣いし自分自身を取り繕っているに違いない。

ソフィアは皇太子殿下は油断ならないお方だと、気をひきしめた。

舞踏会当日。
ソフィアはルイスの元を付かず離れずの距離を保って護衛していた。