皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり

-ーこの高揚感は何だ、同じ目的で同じ志で動いているこの一体感は、どうだ

叱責されているにも関わらず、楽しくて嬉しくてならなかった。

「若、聞いておられますか?」

ルイスがソフィアをうっとり眺めている傍らで、ソフィアは自分が男ならば、もっとシャキンとしているわと思った。

「ソフィー。そちの怒った顔もなかなか良いと思ってな。怒られてみるのも良いものだな」

「わ、若。からかっておいでですね」

「いや、誉めているのだ。吾を叱りつける女性など今まで居なかった。女性は男に従い、はいとしか言わぬ生き物と思っていた」

ルイスはソフィアが、ただ頷いて聞いているはずがないと思った。

案の定、ソフィアはムスッとして「そんなっ!」と呟いた。

「他のご令嬢がどうかは存じませんけれど、わたくしは殿方のおっしゃることや行動が、全て正しいとは思えません。それは例えそれが、若でも殿下でも王陛下でも」