皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり

頼もしい、実に頼もしい。

ルイスはソフィアの手をしっかりと握り返した。

ルイスとソフィアは役人から預かった役所回りの案内を頼りに、次々と役所の聞き込みを済ませていった。

朝から調査を始めて、昼過ぎ。

普段、気のみ気のまま、城下を観て回っている若さまが、今日は何故かはつらつとしているとの噂が広まっていた。

「若さま、今日はテキパキと頑張っていらっしゃいますね」

あちらこちらから声をかけられ、行く先々で差し入れまで貰う始末。

カフェで、一息ついた時、ソフィアが役所の書類を確かめると、まだ城下のたった3分の1を回っただけだった。

「若、まだ3分の1です。役人に国全部の調査を割り振りしたとはいえ、若が率先して城下くらいは役人より先に掌握なさいませんと、示しがつきません」

ルイスは初めて自分が主導権を握られていることに、ワクワクしていた。