「私の技術を存分に駆使した逸品にございます。装飾も、品位がありつつエレガントでございましょう?」

「ええ、とても」

切り出した立体的な花は、マクドネル家の家紋アルバローズがあしらわれている。

「大切に致します」

ソフィアはルイスと靴屋を交互にみつめ、深々と1礼した。

ルイスはソフィアがドレスを着て、ガラスの靴を履いている姿を思い浮かべた。

ソフィアは市中で馴染みになった同じ年頃の女子よりも、美しく魅力的に思えた。

やはり、軍服姿なのは惜しいと、しみじみ思う。

先日の舞踏会で、招待客を魅了したソフィアの姿は、ルイスの瞼に焼きついている。

女王陛下がルイスの妃候補選びにと開いた舞踏会だということは、公にこそなっていないが、誰もが周知していることだ。

舞踏会の翌日、早速に女王陛下から「お目がねに叶った令嬢はいましたか?」と問われた。