「決めた! ガラスの靴の持ち主を捜していると、御布令を出す」

「で、殿下……」

「そなたの靴のサイズは? 極秘にガラスの靴を作らせる」

「何故そのような」

「面白いではないか。それに近年は市中も不景気だ。城下も賑わいに欠け、どこの商いも業者らがぼやいている。吾が景気づけに一躍、手を貸そうではないか」

ソフィアは何故、皇太子殿下ともあろう方が、市中の事情を知っているのか?

訊ねようとしたが、ルイスは言うが早いか、宮中各所を自身で回り始めた。

「殿下、お待ちください」

ソフィアは慌ててルイスの後を追った。

何と無鉄砲なお方だろうと思いながら。

結局、ソフィアは半日。
ルイスが大臣たちに、楽しそうに話して回るのに、宮中を隈無く引きずり回された。

王宮御用達の靴屋もその日の内に、宮中に呼び出され、ガラスの靴の注文を引き受け、ソフィアの足のサイズを測った。