けれど、問題の灯織は、


じいちゃん似。



生前の母さんとの記憶は、そんなにあるわけじゃない。


だが、兄貴が言うには、一見母さんとじいちゃんは相性が悪かったらしい。

言い合っている姿を何度も見たと。


けれど、父さん曰く、


『あんなに相性がいい人達を俺は見た事がないから、安心しなさい。母さんの方が本物の娘のようだよ』


と笑っていた。


父さんと母さんは、恋愛結婚ではなかったらしいけど、いいパートナーって感じだったと聞いてる。


次期統帥有力候補の父さんと結婚して、かなりの支持を集めることが出来た母さんは、かなり出来のいい人だったんだと思う。


兄貴を見ていれば、それも頷ける。


幼い頃の俺は、母さんと継母さんに父さんが向ける目の些細な違いに傷付いた。


母さんと父さんは、パートナー、相棒と言ったところ。

そんな二人が好きだったからこそ、父さんが継母さんに向ける目を見て、裏切られた気がした。


父さんは、母さんを忘れたのか。

変わってしまったのか。

母さんのことは、愛してなかったのか。


ぐるぐる考えて、泣いて。


そんな俺に寄り添おうとする継母さんを、俺は傷付けた。