夏の終わりと貴方に告げる、さよなら

 朝から鳴り止まない携帯の着信音に、嶺奈は渋々応答した。

「お願いだから、今後一切、私に関わらないで」

 電話の相手を突き放すように言う。
 
『一度だけでいいから、会って話がしたい』

 嶺奈に懇願している相手は──亮介だった。

 あの披露宴を最後に、亮介の連絡先を着信拒否したにも関わらず、新しい番号を使って、コンタクトを取ってきたのだ。

 披露宴という特別な日に、倒れてしまった私にも無論、非は有る。けれど、今さらになって、亮介が連絡をしてくる理由が見つからない。

 幸せなんでしょ?

 喉元まで来た言葉を飲み込む。

 亮介に未練があるように思われたくなかったから。実質、嶺奈はいま立花と交際関係にある。