夏の終わりと貴方に告げる、さよなら


「同僚?」

「そう。同じ営業課」

 それなら、亮介と関わる機会も多かったはずだと納得してしまう。

 何も知らなかったのは私のほうで、彼は私よりも亮介のこと知っていた。

「どうして、私を知っていたの」

「亮介がよく、嶺奈の名前を口にしていたから」

 亮介が? にわかには信じられない。けど、彼が嘘をついているようにも見えなかった。

「そう……」

 言葉が見付からず、カップの揺れる珈琲を見つめる。

「君の写真も見せてもらってた」

「写真?」

 付き合いたての頃は、二人で何処かへ出掛ける度に、亮介に一方的に写真を撮られていた。

 薔薇園に行ったときに、亮介に撮ってもらった写真は、私のお気に入りの一枚だった。

「もしかして、これ?」

 携帯の画像フォルダを漁り、一枚の写真を立花に差し出す。