夏の終わりと貴方に告げる、さよなら

 ごめん。って、何が?
 私を騙していたこと?

 それとも、他に理由があるの?

 どうして、良平さんはあの披露宴にいたの? 亮介のこと、知っていたの?

 問い質したいことは沢山あるのに、声が出なかった。涙さえ渇き切ってしまったのか、流れてはくれない。

 あまりにも惨め過ぎて、今すぐにでも、ここから消えてしまいたい。

 披露宴に行かなければ、こんな事実、知らずに済んだのに。

 僅かな幸せを感じたままでいられたのに。

 全てを拒絶するように、嶺奈は再びゆっくりと目蓋を閉じた。