帰り道の車の中。

 さっき、星空とアクセサリーを一緒に写した。その写真をSNSに載せようとした時、記憶がよみがえってきた。

 あの景色をどこで見たのか。 
 載せるのを後回しにして、あるプロフィールを探す。

 SNSで私をかばってくれた人、『エム』。その人のプロフィール画像は丘と一本の木、そして星空の写真!

『消えるべき人間なんていないから。彼女のことを何も知らないくせに。必要な人間だから。この投稿こそ消すべき』

 このコメントを見てから、何回かその人のアカウントを覗いたけれど、その人は何にも投稿していなくて、どんな人なのか、一切分からなかった。

「もしかして、悠真?」
「えっ? 何が?」
「SNSのエムって人」
「お、バレたか。そうだよ!」
「……」

 悠真はSNSでも私のことを助けてくれていた。

「悠真、私が悪口書かれた時に書いてくれたコメント、本当に救われました。ありがとう!」
「いやぁ、あの時はあれしか出来なかったから、むしろごめんな!」
「謝らないで! 本当に感謝してるんだから!」
「そっか、良かった」
「でも悠真のアカウント名、『エム』なのはなんで?」

「あぁ、俺らの名前、ローマ字にすると、Y、U、Aは同じじゃん?」

「ん? 私と悠真?」

「うん。最初は共通のアルファベットそのままにしようとしたけど、そしたら結愛じゃん? だから俺だけ名前に入ってるMにしたの」

「そうなんだ! 私のことを考えて付けた名前なんだね!」

 知らないところでもいっぱい私のことを考えてくれている。それを知るたびに、とても寒いのに心はどんどん温かい気持ちになっていく。

 私のおでこを悠真のおでこに当てた。
 そして、笑いあった。

『しあわせ』。