さて、どうするか。

洗い終わった美由紀の髪から、俺のシャンプーの香りがする。

シャンプーまで気が回らなかったな。
後で買いに行くか…

でも、同じシャンプーの香り…
俺のものって気になるな。


美由紀の部屋でほぼ強制的に荷造りさせ、俺のマンションまで連れてきた。

美由紀はここの住人に姿を見られることを極端に恐れていたが、俺は別に気にしていない。

なぜなら俺の中では、もう彼女がここに住むことは決定事項だからだ。

ここに住むなら、ずっと隠れても居られないだろう。堂々とすればいい。

美由紀は一見しっかりしているように見えて、どこか抜けている。
そこが庇護欲をそそるのだ。

今回のことは、彼女の部屋に起こったことでもないし、彼女が悪いわけでもない。

ただ、これまで危機感が全くなかったということは問題だ。

それに青ざめた美由紀はもう見たくない。

俺が守ってあげないと、という思いが一気にこみ上げた。

美由紀が好きなんだ。
一夜を共にして、その想いは膨れ上がっている。
ずっと一緒にいたい。
そのためなら外堀から埋めるのも厭わない。

俺は報告も兼ねて、実家に電話をかけた。

電話口の母は、美由紀の置かれた現状を理解すると共に、俺の気持ちも即座に汲み取った。

覚悟を決めたことに気づいたのだろう。

父親にはさらに確認されたが…

『手続き』

このワードに含まれるのは住居変更だけではない。

俺たちの関係の整理。
つまりは婚約関係を本物にし、周知することだ。

ちゃんと責任はとる。


……まずは美由紀を納得させないとな。