「この事情聴取はすぐに終わりますか?」

「あぁ、はい。
お留守だったようですし、これ以上お聞きすることは…」

「では、もう失礼します。」

「あ、念の為、田中さんの連絡先をこちらに控えさせてください。
捜査の件はお話出来ませんが、今後何かあって、署に連絡をいただく可能性もありますから。
ここは女性専用のアパートなので、また…という可能性は否定できません。
もちろん、パトロールの回数は増やしますが…」

女性専用アパート!?
めちゃくちゃ危ないじゃないか…
しかも犯人はまだ捕まっていない。

「それ、俺が書きます。」

「え、いや…」

「どうしても女の子の電話番号が知りたいんですか?」

「な…」

若い警察官は明らかにムッとした顔をした。

「婚約者なんですから、俺でもいいでしょう?
何かありましたら、必ず彼女に伝えます。」

「……分かりました」



こうして、俺の連絡先を渡し、俺たちは解放された。



「あ、あの……ごめんね。
ここまで来てもらって…
あ、よ、良かったらどうぞ!
狭い部屋なんですけど…」

俺たちは美由紀のワンルームにいた。
IHのコンロが一つだけの極狭キッチンと、シングルベッドがあるだけの部屋。

社会人一年目の女の子の部屋だ。