美由紀のアパートは、学園の最寄り駅を挟んで俺のタワマンと反対側にあった。

距離は近いが、区が違い、あちらの方が地価は低い。経済的には住みやすい環境なのだろう。

シャワーを浴びて、1週間分の溜まった洗濯物を片付けていると、メッセージが入っていることに気づいた。

『少し遅くなるかもしれません』

美由紀からだった。

なんだろう?
文面からは、単に待ち合わせ時刻に遅れる連絡、と取れるが、何故だか嫌な予感がした。

アプリから電話をかけてみる。


「美由紀?」

『あっ……公親くん…』

「何かあったのか?」

『え?……いえ、その…』

ーー電話が終わるまで……ーー

ーーあ、すみません……ーー

『あ、あの! 大したことではないの。
でもちょっと取り込んでて…』

今、後ろに聞こえたのは男性の声だ。
何があった!?