「今は朝の7:10です。
あの……朝はあったまる消化の良いものがいいかな、と思ってたまご雑炊を作ったの」

「作ってくれたんだ」

「う、うん……勝手なことしてごめ…」

「なんでも勝手に使ってくれていいよ。
それより…」

「え?」

キッチンにいる美由紀を思いっきり抱きしめる。

「え、ちょっ…公親くん?」

「帰ったのかと思った…隣にいないから」

「……帰った方が良かった?」

「いや! まさか……
俺が、昨日しつこく攻めたから嫌になったのか…むっ」

「ちょっ! や、やめて!
……恥ずかしい…」

サッと顔を赤らめながら、俺の口を手で塞いでくる。
その手からは、うちの食器用洗剤の香りがした。

「……嫌になってない?」


「……なってない。
……一緒に、朝ごはんを食べたかったの」

俺を見上げながら、恥ずかしそうに微笑む美由紀が可愛い。

「……うん。出汁のいい匂いがする」

ごく自然にキスをする。

俺はもう、この温もりを手放せないだろう。

それから俺達は、美由紀特製のたまご雑炊をいただいた。

温かさが染み渡る優しい味だった。