「……だめじゃ…ない…です…」

ドクンと、心臓が跳ねた気がした。

「キャッ……き、公親くん!
私、重いからっ」

「……ちゃんと掴まって」

美由紀を抱き上げ、寝室に運ぶ。
さっきまで寝ていたはずのベッドは綺麗に整えられていた。
乱暴に上掛けを外す。

「……本当に、いいの?」

「あの、私……公親くんが、」

「美由紀が好きだ」

「え…」

「先に言わせて。
俺、もうすっかり美由紀に落ちてる。
まだ出会ってすぐだけど、この先もずっと一緒にいたいと思ってる。
……もう止められないんだ、この気持ち」

「……」

「美由紀が嫌ならこれ以上何もしない。
……でも、」

「すき」

「え」

「私も。公親くんが好き。
こんなに好きになるなんて思わなかった…」

「美由紀……俺も好きだ。
……抱いていい?」

暗くても分かるくらい、美由紀が赤くなった。
そして、一度だけ小さく頷いた。

それが合図だった……