喉が乾いた……
尋常じゃない乾きだ。
ちょっと飲み過ぎたか…

リビングのカーテンは完全遮光では無い。
だが外はまだ暗いようだ。
一体何時なんだ?
眼鏡………どこに行った?

ヤギボーから起き上がり、キッチンを見る。消したはずの電気が何故かついている。

眼鏡を諦め、キッチンへ近づくと、ペットボトルの水を飲んでいる美由紀がぼんやりと見えた。

「きゃっ…」

「あ、悪い……驚かせたか?」

「あ、あのっ! すみません!」

「え?」

「私、酔っ払った上に寝ちゃって…
しかも公親先生のベッドを占領しちゃって…申し訳ありませんでした!」

「……『まだまだ全然大丈夫!』って言ってたのにな」

「う…」

「フッ……全然いいよ。
それより、俺にもそれちょうだい」

「あ、すみません、勝手に…」

「いいよ、なんでも好きに取ってくれて。
俺も喉乾いた。
お互い飲み過ぎだよな…」

500mlのペットボトルの水なら山ほど冷蔵庫に入っている。
棚1段がまるまるそれだ。

……それなのに、彼女が口をつけて飲んでいるボトルが、妙に美味そうに見えた。