……というか、美由紀先生は知らないのか?
普通は、俺を誘った時点で、親子のつながりに気づくだろう。

「公親先生、このランサークルがオフレコになってて、純粋に走りたい人にだけ声をかけているのは、乾校長がいらっしゃるからです。
乾校長ご夫妻には気兼ねなく参加して頂きたいので……」

なるほど。
あまり意味のない事だが、校長夫妻が来ているなら参加しないと!…と考える者や、おべっかを使うために来る者もいるのだろう。

それは確かにうっとおしい。
親父達も遠慮してしまって、きっと来なくなるはずだ。

「おい、公親。
参加するなら皆さんに挨拶しなさい」

気がつけば、さっきまでいなかった学園の教師達がたくさん集まってきていた。

「……ああ。わかった。」

「皆さん!
今日から参加させていただきます乾です。
あ、高等部の乾公親の方です。
よろしくお願いします!」

「あー、大西先生のところのように、可愛らしい年代の子供ではないのですが、一応息子です。
可愛がってやってください」

と、親父が余計なことを。

そこにいる皆がくすくす笑っている。

普通、成人して久しい息子の挨拶のフォローなんてするか?

勘弁してくれ。