「そう言えば、性別はどっちか聞いてなかったな」

「生まれるまで聞かないそうですよ。
美衣子先生が言ってました」

私たちは、土曜日の午後、百貨店の子供服売り場に来ていた。

「じゃあピンクか水色かわからないじゃないか」

「プッ……」

「え? 何かおかしい??」

「いえ、今すごく困ったお顔をされてたので…」

男の子のもの、女の子のもの、色で分けて考えるのはよくあることだ。
大抵は男の子が青系、女の子は赤系で購入することが多かった。

……今までは。

でも、今ではそこまでこだわらない。
幼稚園でも、女の子の1番好きな色は多分水色だ。完璧な統計をとったわけじゃないけど「水色が好き!」と言っている女子がとても多い。

姉も青系が好きで、お腹の子が女の子だとわかってからも
「プレゼントをくれるなら水色のものでお願い」
と、お友達にリクエストしていた。

この話を公親先生にしてみると、やはりとても驚いた表情をしながらも
「なるほどー。今は限定されないんだな。」
と納得されたようだ。


疑問を素直に口に出して、目を丸くして驚いている様子は、園児たちと変わらない。
とても純粋な反応で、見ていて微笑ましく、好感が持てる。

正直に言うと、キュンとするのだ。

もっともっとそんな反応を引き出したくて、公親先生の言動の一つ一つを楽しみにしている自分がいる。

すっごく楽しい!
こんなドキドキした気持ち、何年ぶりだろう?