「……まだお前は結婚を焦るような年齢ではないかもしれない。
でも、そろそろ彼女を紹介してくれるようなイベントがあってもいいと思うのだが。
うちは女の子がいないから、母さんが楽しみにしてるんだぞ?
誰かいないのか?
大学の時に付き合ってた子以来、聞かないからなぁ。
お前は俺に似たのか、昔から考えすぎて損をするところがあるからな。
石橋を必死で叩いて確かめるのに、結局渡ろうとしないんだ」

「……」

まさか、親父は花への気持ちに気づいてたのか?

「慎重になりすぎるのもな。
橋を渡らないより、渡ってみてから考えた方がいいぞ」

「……わかってるよ」

痛いほどにわかっている。
一歩踏み出す勇気があれば、何か変わっていたのだろうか…

そんな後悔をするよりは、前に進みたい。今は本気でそう思うんだ。