でもたとえお兄さんだと思われてたとしても、突然
『連絡先渡しておくから』
なんて言われたら……
嬉しくないかもしれない。
迷惑かもしれない。
キモイかもしれない。

「えーっと、美衣子先生づてに連絡くれてもいいし、高等部に内線をくれても。
もし授業中だったとしても、言付けてくれれば、幼稚園までくるからさ…」

「あ、あの!
……普通にLINE交換しませんか?
そっちの方がスムーズに連絡出来ますし」

「あ、そ、そうだよな。
内線なんて時間の無駄だよな! 」

よ、良かった…
嫌がられてはいないようだ。

今まで、幼稚園に教えに来ても、それは親友の妹が相手であって、なんの気遣いも遠慮もなかった。
俺にとっても、美衣子は妹のような存在だったからだ。

だが、彼女は今日初対面だ。
そして若い。
どう接するのか、これから試行錯誤ってとこなんだ。こっちも緊張するよな…

それにしても、綺麗な子だな。
顔が小さくて、モデルみたいにスタイルがいい。
手足が長いんだな。
坂系アイドルの元センターの子にそっくりだ。

それから俺たちはスマホを取り出し、LINE交換した。

「あ……
アイコン、満開の桜と大阪城なんですね!
乾先生、お花見に行かれた時の写真ですか?」

「え! い、いや……」

まずい……忘れてた。
自分のアイコンって見慣れてて、なんにも考えてなかった。