それから俺達は、あえて向かい合わせにならないよう、カウンター席に座った。
美由紀先生を真ん中に。

「それで、聞きたかったんだけど、どうして美由紀が公親先生を誘ったの?
接点なさそうなのに」

「ああ、俺今年の4月から、幼稚園の動画配信を手伝ってるんだ。
元々は美衣子先生が担当だったんだけど、産休に入るだろう?
後任が美由紀先生なんだ」

「なるほど、それでか」

「私、めちゃくちゃ苦手なの。
パソコン触るの。
だけどあみだくじで負けちゃって。
でも、公親先生が丁寧に教えてくださるから、なんとかなりそう……かな?
まだ始まってなくて、来週からなんだけどね」

「学校も、幼稚園も、今は感染状況が落ち着いてるけど、いつまた緊急事態宣言が出るかわからないよね。
春休みになったらまた増えそうだし……」

「そうなの。
だから、隔週で動画配信していって、ストックを増やしていってるの。
家から出られなくなった時に、子供たちが退屈しないように。
保護者の方が少しでも楽ができるように。
あともちろん、幼稚園が楽しいところだってことを忘れないでいてもらうためにね」

「そっか……大切だよな、そういう対応って」