カールとなら、向かい合ってお茶を飲むことができるかもしれないと……確かにそう思ったりもしたけれど。
返事に困って目をさまよわせると、カールが慌てて言葉を追加した。
「あ、もちろん、僕の奢り。街を案内してもらうお礼だよ、ね?」
カールの気遣いにふっと笑みが漏れる。
今まで食べたことがないということが、お金がないからだと考えたのだろう。今返事に戸惑っているのもお金の心配をしていると思ったから奢ると言って、しかも私の負担にならないようにお礼だと言ってるんだよね?
「食べたことが無いのは、お金がないからじゃないのよ?噂通り私はこれでも子爵令嬢だし、親には生活に十分な仕送りはしてもらっているから……」
私の言葉に、カールが慌てている。
「いや、違う、その、別に、お金に困ってるだろうからと……その、奢るといったわけじゃなくて、男として、えーっと、す……な子……さ、誘うときに……ごにょにょ」
何を言っているのか、半分しか聞き取れなかった。
どうやら、女性に払わせるわけにはいかないということだからと言う話みたい?そういえば、貴族社会ではそもそも財布を女性は持ち歩かないんでした。
侍女などお付きの者が払うし、もしくはつけで後で家に請求が行く。婚約者などと一緒に出掛けるのであればその請求はすべて婚約者に……という感じでしたね。
■
「ごめんなさい、もう子爵令嬢としての生活ははるか昔のことで、すっかり色々忘れてしまっていて、普通の貴族令嬢は、自分で財布からお金出すことなんてありませんでしたね……」
「え?あ、うん……あれ?あー……」
カールが頭を気まずそうにかいた。
あれ?もしかして私が子爵令嬢だっていうこと忘れてました?
ケーキのおいしい喫茶店に視線を向ける。
女性客の多い可愛い店だ。
小ぢんまりとしている。今は昼食どきなので、食事メニューのないお店は空いている。
……けれど。
狭い店内でお茶をしていて、毒に弱いお客さんがいたら気分を悪くしてしまうだろう。
私が店に行けば、迷惑をかけてしまう。
「行こう!」
カールが私の手を取った。
「あ」
とっさに振り払おうとしてとどめる。
「カールさん、手を離してください」
「嫌だった?ごめん」
「手袋をしているので、いつもよりは毒の影響は少なくて済むとは思うんですが……それでもやっぱり……その……」
返事に困って目をさまよわせると、カールが慌てて言葉を追加した。
「あ、もちろん、僕の奢り。街を案内してもらうお礼だよ、ね?」
カールの気遣いにふっと笑みが漏れる。
今まで食べたことがないということが、お金がないからだと考えたのだろう。今返事に戸惑っているのもお金の心配をしていると思ったから奢ると言って、しかも私の負担にならないようにお礼だと言ってるんだよね?
「食べたことが無いのは、お金がないからじゃないのよ?噂通り私はこれでも子爵令嬢だし、親には生活に十分な仕送りはしてもらっているから……」
私の言葉に、カールが慌てている。
「いや、違う、その、別に、お金に困ってるだろうからと……その、奢るといったわけじゃなくて、男として、えーっと、す……な子……さ、誘うときに……ごにょにょ」
何を言っているのか、半分しか聞き取れなかった。
どうやら、女性に払わせるわけにはいかないということだからと言う話みたい?そういえば、貴族社会ではそもそも財布を女性は持ち歩かないんでした。
侍女などお付きの者が払うし、もしくはつけで後で家に請求が行く。婚約者などと一緒に出掛けるのであればその請求はすべて婚約者に……という感じでしたね。
■
「ごめんなさい、もう子爵令嬢としての生活ははるか昔のことで、すっかり色々忘れてしまっていて、普通の貴族令嬢は、自分で財布からお金出すことなんてありませんでしたね……」
「え?あ、うん……あれ?あー……」
カールが頭を気まずそうにかいた。
あれ?もしかして私が子爵令嬢だっていうこと忘れてました?
ケーキのおいしい喫茶店に視線を向ける。
女性客の多い可愛い店だ。
小ぢんまりとしている。今は昼食どきなので、食事メニューのないお店は空いている。
……けれど。
狭い店内でお茶をしていて、毒に弱いお客さんがいたら気分を悪くしてしまうだろう。
私が店に行けば、迷惑をかけてしまう。
「行こう!」
カールが私の手を取った。
「あ」
とっさに振り払おうとしてとどめる。
「カールさん、手を離してください」
「嫌だった?ごめん」
「手袋をしているので、いつもよりは毒の影響は少なくて済むとは思うんですが……それでもやっぱり……その……」


