「カールさん……」
また来てもいいかと尋ねたカールさんの言葉を思い出す。
「ああ、だめ。何を、なんで……」
恋しちゃダメだって分かってるのに。カールさんを思い出すと、ほっぺたが熱くなる。
「……笑ってくれた」
私の毒の話を聞いても。
草むしりじゃなくて雑草なんだって笑ってくれた。
「それだけのことで……」
好きになるとか。ありえないよね。
「あ!しまった!」
夕飯の支度で、昨日作ったシチューを温め直していたんだ。
あんまりぼんやりしていたから焦げ臭いにおいが!
「うわー……。こげいちゃったかな。鍋を洗うの大変なんだよね……」
慌てて鍋を火からおろす。
中身を器にうつすと、黒い破片がいくつも浮かぶ。
「ありゃ、これはもう、しっかり焦げてる……懐かしいな。最近は料理の腕もそれなりに上がって、焦がすことはほとんどなかったのに……」
この家で一人暮らしを始めた時はそれはひどかった。いちおう、家を出る前に一通りのことは教えてもらってはいた。けれど、家では遠くで見て覚えるしかなくて、手取り足取り教えてもらったわけではない。
近づけばせっかく教えてくれる人を毒の被害に合わせてしまうからね。
「あんなに……近くに人がいたのはどれくらいぶりだろう……」
手に触れてしまった。
カールに手を取られたことを思い出して顔が赤くなる。
あ、あれは、仲直りの握手をカールはしようとしただけで……。
慌てて頭を横に振る。
カールの手は無事だった。
すぐ隣で除草を見ている時も平気そうだった。
私の毒にとても弱い人もいる。同じ部屋にいるだけで頭痛がしてしまうような人……。逆に私の毒に強い人もいる。
両親や、長年私の世話係をしてくれた侍女。物心つくまでには何人も侍女は入れ替わったらしい。
その中で私の毒に強い人を探してくれた。
強いと言っても、2~3秒なら触れていられるとか。
手袋をはめれば触れていても大丈夫とか。
まるっきり平気と言うわけではない。
「カールも、そういうタイプなのかしら?」
だったら……一緒にお茶を飲むくらいはできるかもしれない。
と、考えたところで焦げたシチューを口に運んだ。
「苦っ」
馬鹿だなぁ。私が入れたお茶は毒に変わる。
毒を飲ませる気?
このシチューだって……。
また来てもいいかと尋ねたカールさんの言葉を思い出す。
「ああ、だめ。何を、なんで……」
恋しちゃダメだって分かってるのに。カールさんを思い出すと、ほっぺたが熱くなる。
「……笑ってくれた」
私の毒の話を聞いても。
草むしりじゃなくて雑草なんだって笑ってくれた。
「それだけのことで……」
好きになるとか。ありえないよね。
「あ!しまった!」
夕飯の支度で、昨日作ったシチューを温め直していたんだ。
あんまりぼんやりしていたから焦げ臭いにおいが!
「うわー……。こげいちゃったかな。鍋を洗うの大変なんだよね……」
慌てて鍋を火からおろす。
中身を器にうつすと、黒い破片がいくつも浮かぶ。
「ありゃ、これはもう、しっかり焦げてる……懐かしいな。最近は料理の腕もそれなりに上がって、焦がすことはほとんどなかったのに……」
この家で一人暮らしを始めた時はそれはひどかった。いちおう、家を出る前に一通りのことは教えてもらってはいた。けれど、家では遠くで見て覚えるしかなくて、手取り足取り教えてもらったわけではない。
近づけばせっかく教えてくれる人を毒の被害に合わせてしまうからね。
「あんなに……近くに人がいたのはどれくらいぶりだろう……」
手に触れてしまった。
カールに手を取られたことを思い出して顔が赤くなる。
あ、あれは、仲直りの握手をカールはしようとしただけで……。
慌てて頭を横に振る。
カールの手は無事だった。
すぐ隣で除草を見ている時も平気そうだった。
私の毒にとても弱い人もいる。同じ部屋にいるだけで頭痛がしてしまうような人……。逆に私の毒に強い人もいる。
両親や、長年私の世話係をしてくれた侍女。物心つくまでには何人も侍女は入れ替わったらしい。
その中で私の毒に強い人を探してくれた。
強いと言っても、2~3秒なら触れていられるとか。
手袋をはめれば触れていても大丈夫とか。
まるっきり平気と言うわけではない。
「カールも、そういうタイプなのかしら?」
だったら……一緒にお茶を飲むくらいはできるかもしれない。
と、考えたところで焦げたシチューを口に運んだ。
「苦っ」
馬鹿だなぁ。私が入れたお茶は毒に変わる。
毒を飲ませる気?
このシチューだって……。


