「殿下がわざわざ、一人の子爵令嬢のために?」
呆れられても仕方がない。
「私に、サボった分の仕事を押し付けて?」
はい。その点は言い訳できない。申し訳ないと思っている……が……。
「僕の浄化能力が、初めて人の役に立てると思ったんだ……」
「は?いつも役に立ってますよ?不正撲滅は殿下のおかげですし。毒見役不要であるのも無駄な犠牲者を出さずに済んでいますし」
首を横に振る。
「相手は、むしろ浄化されることを望んでいないだろう?浄化されても感謝されないだろう……?僕の浄化能力が……もしかしたら、初めて本当の意味で人の役に立つかもしれないと、思ったんだ」
自分の手を見る。
■
不用意に触れれば、人を浄化する。悪いものを追いやることができる。心からも体からも。
だけれど、何の隠し事もできないほど綺麗な心では人は生きにくい。
お酒を飲みすぎて寝坊するくらいの楽しみは人にはあってもいいんだと思う。だけれど、僕が浄化してしまえばそれさええも悪いことをしたと後悔するようになる。
……。
「殿下、それで、役に立てたんですか?」
ハーバンはそれ以上僕を責めるようなことはせずに、話の続きを促してくれた。
「それが、すごいんだよ。僕は、初めて突き飛ばされたんだ!」
「は?突き飛ばした?殿下を?」
ハーバンが驚いた顔をしている。そりゃそうだろう。
「念のため言って置くけれど、僕は正体を明かしてないからね、不敬だというのはなしだよ?ミリアはね、僕を突き飛ばしたんだ!」
「……いや、嘘でしょう?あ、突き飛ばした後に浄化されて突き飛ばしたことを泣いて誤ったとか?」
「いや違うんだ。手に触れたら、手を振りほどいて突き飛ばした」
ハーバンが椅子から勢いよく立ち上がって机を両手で叩いた。
ダンっと、ものすごい音がして、カップがカチャリと小さく音を立てた。
「この私ですら、触れられたら……浄化がある程度進んでしまい、振りほどくことはできても……突き飛ばすなど出来ないというのに……」
ハーバンがハッと何かに気が付いた顔をする。
「もしかしたら、振りほどいて突き飛ばすまで、ものすごい高速だったのでは?っていうか、殿下、一体なんでそもそも突き飛ばされたんですか?何を、そのミリア嬢にしたんですか?女性ならば身を守るために素早い動きで男性を突き飛ばすことも……」
呆れられても仕方がない。
「私に、サボった分の仕事を押し付けて?」
はい。その点は言い訳できない。申し訳ないと思っている……が……。
「僕の浄化能力が、初めて人の役に立てると思ったんだ……」
「は?いつも役に立ってますよ?不正撲滅は殿下のおかげですし。毒見役不要であるのも無駄な犠牲者を出さずに済んでいますし」
首を横に振る。
「相手は、むしろ浄化されることを望んでいないだろう?浄化されても感謝されないだろう……?僕の浄化能力が……もしかしたら、初めて本当の意味で人の役に立つかもしれないと、思ったんだ」
自分の手を見る。
■
不用意に触れれば、人を浄化する。悪いものを追いやることができる。心からも体からも。
だけれど、何の隠し事もできないほど綺麗な心では人は生きにくい。
お酒を飲みすぎて寝坊するくらいの楽しみは人にはあってもいいんだと思う。だけれど、僕が浄化してしまえばそれさええも悪いことをしたと後悔するようになる。
……。
「殿下、それで、役に立てたんですか?」
ハーバンはそれ以上僕を責めるようなことはせずに、話の続きを促してくれた。
「それが、すごいんだよ。僕は、初めて突き飛ばされたんだ!」
「は?突き飛ばした?殿下を?」
ハーバンが驚いた顔をしている。そりゃそうだろう。
「念のため言って置くけれど、僕は正体を明かしてないからね、不敬だというのはなしだよ?ミリアはね、僕を突き飛ばしたんだ!」
「……いや、嘘でしょう?あ、突き飛ばした後に浄化されて突き飛ばしたことを泣いて誤ったとか?」
「いや違うんだ。手に触れたら、手を振りほどいて突き飛ばした」
ハーバンが椅子から勢いよく立ち上がって机を両手で叩いた。
ダンっと、ものすごい音がして、カップがカチャリと小さく音を立てた。
「この私ですら、触れられたら……浄化がある程度進んでしまい、振りほどくことはできても……突き飛ばすなど出来ないというのに……」
ハーバンがハッと何かに気が付いた顔をする。
「もしかしたら、振りほどいて突き飛ばすまで、ものすごい高速だったのでは?っていうか、殿下、一体なんでそもそも突き飛ばされたんですか?何を、そのミリア嬢にしたんですか?女性ならば身を守るために素早い動きで男性を突き飛ばすことも……」


