そういう場が好きだったかもしれない。逆に、だからこそ、毒のこともあるのに何回かお茶会に顔を出したという可能性だってある。
もしそうなら……。
人里離れた森にひっそりと一人で暮らしているミリアの姿を思い出す。
一人で寂しいんじゃないだろうか。
お茶会に行きたいんじゃないだろうか。
■
ダンスも踊りたかったんじゃないだろうか……。
僕ならミリアとダンスが踊れるはずだ。
僕だけが、ミリアとダンスを踊れる。
「ダンスの練習をサボっていたことをこれほど後悔したことはないっ!」
突然叫んだ僕の言葉に、ハーバンが口に含んでいたお茶を拭きだした。
「うわっ、汚いな、ハーバン!」
「殿下が突拍子もないことを言い出すからでしょう!ダンスで女性の手を取ると、女性がことごとく浄化されダンスどころではなくなるから踊る機会もないだろうからと言って投げ出したのは10歳でしたね。何を今さら」
「ハーバン、お前やけに物覚えがいいんだな。年齢まで覚えているのか……」
ハーバンが濡れたテーブルの上をふきんでぬぐいながら訝しむような目で僕を見た。
この執務室には、僕の浄化の秘密がバレないように侍女の一人も置いていない。テーブルを濡らしたからと誰かに始末してもらうわけにもいかないからハーバンもなれたものだ。これでも、公爵家の子息なのだが、身の回りのことば僕同様一人で何でもこなしてしまう。
いや、身の回りのことといっても、着替えやお茶を入れる程度の話で何でもというのは言い過ぎか。
ミリアは一人であそこで暮らしているのなら……食事の準備から洗濯と、本当に何でも一人でしているのかもしれない。
貴族令嬢に生まれたというのに、そのような暮らしをしなければならないミリア……。
過酷な運命を受けいれ、それでもああして笑っていられるのはどうしてだろう。
「それで、一体なんでダンスの練習をサボっていたことを後悔なんてしてるんですか」
ハーバンがはっと何かに気が付いたように目を見開いた。
「殿下、毒令嬢がダンスを誰とも踊らなかったっていう話しで、自分が相手をしてあげようなんて思ったとか?」
鋭いな。ハーバン。
まぁ、ちょっと違うんだけど。
「……いや、実は、毒令嬢の噂を聞いて、僕ならば毒を浄化してあげられるんじゃないかと思って会いに行ったんだ」
ハーバンがはぁと小さくため息を吐き出した。
もしそうなら……。
人里離れた森にひっそりと一人で暮らしているミリアの姿を思い出す。
一人で寂しいんじゃないだろうか。
お茶会に行きたいんじゃないだろうか。
■
ダンスも踊りたかったんじゃないだろうか……。
僕ならミリアとダンスが踊れるはずだ。
僕だけが、ミリアとダンスを踊れる。
「ダンスの練習をサボっていたことをこれほど後悔したことはないっ!」
突然叫んだ僕の言葉に、ハーバンが口に含んでいたお茶を拭きだした。
「うわっ、汚いな、ハーバン!」
「殿下が突拍子もないことを言い出すからでしょう!ダンスで女性の手を取ると、女性がことごとく浄化されダンスどころではなくなるから踊る機会もないだろうからと言って投げ出したのは10歳でしたね。何を今さら」
「ハーバン、お前やけに物覚えがいいんだな。年齢まで覚えているのか……」
ハーバンが濡れたテーブルの上をふきんでぬぐいながら訝しむような目で僕を見た。
この執務室には、僕の浄化の秘密がバレないように侍女の一人も置いていない。テーブルを濡らしたからと誰かに始末してもらうわけにもいかないからハーバンもなれたものだ。これでも、公爵家の子息なのだが、身の回りのことば僕同様一人で何でもこなしてしまう。
いや、身の回りのことといっても、着替えやお茶を入れる程度の話で何でもというのは言い過ぎか。
ミリアは一人であそこで暮らしているのなら……食事の準備から洗濯と、本当に何でも一人でしているのかもしれない。
貴族令嬢に生まれたというのに、そのような暮らしをしなければならないミリア……。
過酷な運命を受けいれ、それでもああして笑っていられるのはどうしてだろう。
「それで、一体なんでダンスの練習をサボっていたことを後悔なんてしてるんですか」
ハーバンがはっと何かに気が付いたように目を見開いた。
「殿下、毒令嬢がダンスを誰とも踊らなかったっていう話しで、自分が相手をしてあげようなんて思ったとか?」
鋭いな。ハーバン。
まぁ、ちょっと違うんだけど。
「……いや、実は、毒令嬢の噂を聞いて、僕ならば毒を浄化してあげられるんじゃないかと思って会いに行ったんだ」
ハーバンがはぁと小さくため息を吐き出した。


