▷ 1.突然の告白



「別れちゃった」



「えっ……」



「僕が葵月-アツキ-に酷いこと言っちゃった」



彼は、彼女に依存している。


あんな短期間で、人はこんなにも変われるのか。



「葵月はもう付き合ってくれないだろうけど、僕は諦めてない」



彼女は言ってた。



「まだ好き…」



彼はおかしいと。



「そっかぁ…」



何故こんなにも私は彼に冷たいのだろう。


彼に対して微塵の同情などない。

彼は哀れなだけだ。



「こんな僕なんてすぐ忘れられるよね」



彼はただかまってほしい一心で人を支配する。


私の醜い優しさが本心を邪魔する。



「私は自分の好きに生きてるから、あなたを忘れたときは」



嗚呼、なんて残酷な世界なの。



「私はあなたの傍にいないよ」



どれだけ嘆いても可哀想なほど聞き入れてくれない世界。



「そっか。ずっと居場所がないんだね」



独りだと呟く。


全く。この子は馬鹿なのか、頭に脳みそが詰まってないんじゃないの。



「居場所は自分で築き上げるものだと思うわ」



人はいつか離れてしまう。


だから、それまでもその後も、互いに信頼できるように本当の自分を垣間見せて、その先に居場所が生まれるんだと思う。



「どういうこと?」



「人との関わりを疎かにしてはいけないってこと」



「…じゃあ、僕の家庭のこと知ってる?言ったら引かれるかもだけど」



「あ、葵月に少し聞いたよ。養子なんでしょ。それがどうしたん?別に引いたりしないよ」



彼は裏が見えない。分かりやすいのに、何がしたいのが良く読み取れない。

きっと彼が人並み外れているから。