家に着き、私はすぐにハンバーグを作る準備を始めた。


 私が料理をしている間、青峰くんはリビングのソファに座って本を読んでいた。


 いつもなら、絶対部屋に戻ってたと思う。


 でもリビングにいてくれるってことは、出会った時に比べて、少しでも仲良くなれたということなのだろう。


「ハンバーグ、できたよ!」


 私はリビングにいる青峰くんに、キッチンから声をかけた。


 本から目線を上げた青峰くんは、表情を変えずに無言でイスに座った。


 2人で手を合わせた。


 そして私が作ったハンバーグを一口食べるや否や、少しだけど目を見張った。


「…これ、本当にお前が作ったのか?」


「うん、そうだよ」

 
 まさか、びっくりしてる?


 私が料理できるのって、そんなに驚くことかな?


「…めちゃくちゃうまい」


 そう言うと青峰くんは一口、また一口と次々に口にハンバーグを運んだ。


 青峰くんに素直に褒められると、なんか照れてしまうな。


 あ、そういえば、お父さん以外の誰かに料理を食べてもらうなんて初めてかも。


 でも、美味しいみたいでよかった。


 私は目の前でハンバーグを休まず食べ続ける青峰くんを見て、自然と笑顔になった。