部屋に入ると、私はそのままベッドに飛び込んだ。
枕に顔をうずめて、今までのことを思い返す。
一緒に買い物に行って、2人で初めて食卓を囲んだ日。
あの時、初めて翔くんが私に心を開いてくれたような気がして、本当に嬉しかった。
そして、雷の鳴る夜。
雷が苦手な私にとっては最悪な夜だった。
でも、翔くんがそばにいてくれたから。
手を握ってくれたから。
私は安心して眠ることができたんだ。
一緒に登校したり、話したり。
他にもたくさんの翔くんとの思い出が鮮明によみがえる。
でも、それももう終わり。
これからもっと忙しくなるだろうし、人気にもなるだろう。
私なんかがそばにいていいわけない。
「ただいま」
下から翔くんの声が聞こえた。
その声を聞くと、なぜだか今考えていたことが現実味を帯びてきて。
私の目から、ひとすじの雫がこぼれ落ちた。



