「わぁ…!ピバさんがいっぱい…!」


 私の目の前には、今までに見たことがないくらいのたくさんのピバさん。


 好きなものが目の前にいっぱいあるのって、こんなに幸せなんだ。


「ここ、俺が見た中で1番品揃えいいんだよ」


「うん…!ありがとう、湊くん!」


 ここを教えてくれた湊くんに本当に感謝。


 私はそれからひとつひとつピバさんを見て、欲しいピバさんを3つに絞った。


 私の右手にはリボン姿のピバさん。


 左手には、着ぐるみ姿のピバさんと制服姿のピバさん。


 全部欲しいけど、実は今日持ってきたお金からいって、買えるのは2つまで。


 …この中から2つ選んで、また来るしかないかな。でもそれまでに無くなってたら。


 両手にピバさんを持ってそんなことを考えていると、


「桃瀬さん、どうしたの?」


 と湊くんに声をかけられた。


 私、結構難しい顔をしてたから、心配かけちゃったかも。


「…実はね、今持ってるお金だとピバさん2つまでしか買えないんだよね」


「そうなの?…じゃあ俺に1つ買わせてよ」


 えっ!?


「そ、そんなのだめだよ」


「いーのいーの。俺が桃瀬さんにあげたいだけなんだから」


 そう言われても…。


 私がまだ納得してない顔をしていると、


「じゃあさ、今度俺になんかおごってよ。それでどう?」


「ま、まぁそれなら…」


「よし!」


 そう言うと、湊くんは私の右手からリボン姿のピバさんを取ってレジの方へ歩いて行った。