「それでは改めて。私、青峰(あおみね)由紀子(ゆきこ)。そして息子の翔です」
玄関からリビングに案内された私たちは、机を挟んで向かい合うように椅子に座った。
紹介の間も、青峰くんはポーカーフェイス。
そんな彼を見ていると、仲良くなるっていう決意がどんどん薄れていきそうだった。
「えっと、私は桃瀬(ももせ)はじめといいます。そして娘のくるみです」
お父さんがそう言い終わると、私は由紀子さんと青峰くんに向かってぺこりと頭を下げた。
「くるみちゃん、同い年の男子と一緒に住むなんて不安だとは思うけど、これからよろしくね」
同級生の男子と同じ家に住むなんて、不安でないわけがない。
でも、そんなことをお父さんに悟られたら再婚の話は無くなってしまうかもしれない。
「…いえ!とても楽しみです!」
私はできるだけ明るく、笑顔で答えた。